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「お客さんは木の家に木のもつ本来のよさを求めるかわりに、割れや裂けといった欠点を認めてくれてはります。けれど、その欠点を求めているわけではない。木が本来もっているよさを損なわない、しかも後から割れや裂けの少なくて済む自然な乾燥方法がほかにないものだろうか。」というのが宮内さんの問題意識の中身なのだ。
その答を見つけようと「昔はどうだったのだろう・・」宮内さんは思いを馳せる。古くから残っている建物を見ると、新築の木組みの家と比べると、割れや裂けが少ないように見える。それはなぜなのか。「年のいった大工や、山仕事に携わる人たちに訊いてみると『そりゃあ、今は木を水に浸けないからや』という言わはるんです。」
トラックがなかった昔は、山で伐採した木を川で筏に組んで下流に運んでいた。東京に「木場」という地名が残っているが、それは東京の材木商がかつて、上流から筏で運ばれて来た木をそのまま川にストックしていた貯木場があったことに由来する。「昔は木をいったん水に浸けてからひきあげて、それから自然乾燥させていたんやね。みんな木場のことは知ってはいる。でもそれが乾燥の技術であったことは忘れてしもうたんや。」先人達は木をまずはいったん水につけた状態から、自然乾燥をスタートさせていたのだ。
伐採してから家を建てるまでの時間がゆったりしていた昔は、ゆっくり自然乾燥させることができたため、竣工後の狂いという問題はもともと起きにくかった。だが、現代では、原木生産者も、材木商も在庫をもちたがらない。伐った木をすぐに現場に出していかないと、経済効率が悪い。そのために、伐採後、木はすぐにトラックで製材所に運ばれ、人工乾燥機にかけられ、現場に運ばれて来る。
宮内さんは言う。「石油をぎょうさんつこうてボイラー焚いて、伐ったばかりの木をサウナに入れて無理矢理汗しぼりだすような、無理な乾燥をする。その結果、表面は乾いていても中はまだ濡れている、しかも木そのものの性質がねじまげられた、変な木になってしまう。それはおかしいんやないか。かといって、ただただ自然乾燥させたのでも、なかなか芯までは乾かない。無理のない、しかも効果的な自然な乾燥方法として、先人が知ってか知らずしてか実行していた、そして今では行われなくなってしまった水中乾燥を復活させたらええんやないかと思いはじめたんですわ。 |
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途切れた技術を再発見する。宮内さんは伝統技術をそうとらえている。「効率化の流れの中でいつのまにか失われて行った技術って、ぎょうさんあるように思います。たとえば塩を工業的にでなく、海水を天日干しする自然塩が復活している。新月伐採が話題を呼んでいるが、かつて日本にも月の暦に応じて木を伐採する習慣はあったらしい。みんな昔にちゃんとあった技術なんです。」
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| 「伝統構法も同じです。長い歴史があるのに、戦後ずっと置き去りにされてしまった。その結果として、伝統構法をやみくもに「守らな」という言い方しかしなくなってしまっている。けど、それやと長い歴史と今とは断絶したままになってしまう。今の視点に立って、昔からある技術を科学的にも再検証する、そしてよいものを復活させる、続けて行く。伝統構法のよさを知る大工だからこそ、そういうスタンスでいくべきでないか。これが宮内から大工たちへの檄や!」。
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