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  国土交通省住宅局建築指導課パブリックコメントご担当者様宛

建築基準法関連告示の改正に関する意見

建築基準法関連告示(建築基準法施行令第46条第4項表一(一)項から(七)項までに掲げる軸組と同等以上の耐力を有する軸組及び当該軸組に係る倍率の数値を定める件)改正に関する意見の募集について

木の家ネット(http://www.kino-ie.net)
代表:加藤長光
事務局:〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-20-9 セブンハイツ302
持留デザイン事務所内「職人がつくる木の家ネット」事務局
Tel:0422-23-6070 Fax:0422-23-6090  E-mail:jimukyoku@kino-ie.net
会員:89名(2003年4月28日現在)




・パブリックコメント
今回の告示改訂案で示された、土壁、格子壁、板壁は国内のあらゆる地域で在来にあった伝統的な要素技術です。築100 年を越えるような民家や町屋に普通に使われている仕様でもあります。これらは地域の職人たちに受け継がれ今日に至っていますが、残念ながら本格的に工学的な評価の対象とならず、建築基準法の中でも小さな評価の扱いになって今日に至っていたのだと思います。しかし、阪神大震災以降の木造住宅の構法技術再考の動きの中で技術者、技能者、研究者および行政などさまざまな研究と実践の積み重ねの成果、それに対する評価がなされ今回の告示案に反映されているものと理解できます。

持続可能な社会構造に変換していこうとする現在、特に環境負荷の少ない素材を使った伝統的な要素技術への再考、そして今回の告示への対応はこれからの日本の住宅文化に対しておおきな一石を投じるものと期待しております。

わが国の伝統的な木造技術の中には、耐久性、耐用性、再利用性など現代の視点で見ても有効な技術がまだ多く見落とされているものと思います。そこで、今後の技術開発のためにも、先人の知恵を現代に生かせる仕組みづくりを望みます。特に、粘り強さを持つ架構という伝統的な構法の構造特性に対する評価は、層間変位角1/120rad といった比較的硬い構造を目指す現在の基準内では本来持ちうるその特性を十分に発揮しきれないと考えられます。しかし、この議論はこれからのわが国の木造建築を考えるときの早急に解決しなければならない課題と位置づけられ、今後の研究や実践の積み上げによる要素技術の確認作業に待たなければならないものと認識いたします。

様々な研究分野においての問題解決のためには机上の研究や実験データの積み上げばかりでなく、実際に現場で直接材料に触れながら技を磨いた有能な技能者の経験が必要となります。巷間、職人の質が落ちたなどということも聞きますが、相対的な問題であって有能な棟梁や親方たちは健在です。彼らとの意見交換の場なども今後取り組んでいただくこともこれからの木造建築の課題解決のひとつの方策であると思います。そのような際にしっかりした技術を持ち、その場所の地域性を受け継ぎながらそれぞれで実践を積み重ねている多種の職人たちが自らの技術向上とよりよい住文化の創造のためにネットワークしている私たちとしても協力させていただける場面が必ずあると思いますのでよろしくご検討ください。

前置きが長くなりましたが以下、告示改正案に対しての個別に意見を提示いたします。



◎告示第1100号改正案 第1項10(土塗り壁に関する記述)
■間渡し、小舞下地等の下地仕様に関して
本告示における土壁による軸組みの構造耐力上の要点は土の塗り厚を確実に確保することと同時に土が付着しやすく外力によっても肌別れを起こしにくい小舞下地の構成であることと解釈します。

本告示案では土塗りのための下地については割竹や丸竹の記述のみとなっています。しかし、わが国全体を考えた場合に、土壁の下地としてはその地域ごとに入手しやすい材料によって小舞下地としている現実があります。たとえば、篠竹や葦による小舞、木材を用いた木小舞などもその地域によってはごく一般的な仕様であり、それは地域材を有効に利用してきたことでもあるわけです。それら仕様をすべて記述することは告示としては内容が煩雑となりますので、上記意図を含む表現として

・・・パーム縄、ビニール縄その他これらに類するもので締め付け、荒壁土(百リットルの・・・
の記述部分を、

・・・パーム縄、ビニール縄その他これらに類するもので締め付けて構成した小舞下地、あるいは同等の小舞下地に、荒壁土(百リットルの・・・
と変更する提案を意見といたします。

ここで、小舞縄については左官職の方々からの以下の意見がありましたので追記させていただきます。

ア) 今回の改正案では、「藁縄」という表記が出てきていません。条文上では「その他これらに類するもの」で対応できると思われますが、もともと用いられていた材料であり、現在でもとても一般的な材料であるとのことから、条文にはあげ、かつ優先順位としては、むしろ一番前にあっても良いのではないかという意見。JASS15 左官工事の小舞縄ではその表記があります。
イ) ビニール縄については作業性の観点から最近でこそこの仕様が多いが、湿気に対して呼吸しない材料であることに対して、結露や土との付着に問題を生じるのではないかという意見。

◎告示第1100号改正案 第1項12(落とし込み板壁に関する記述)
■だぼの間隔と軸組みの倍率について
だぼの間隔によって壁の耐力に違いがないものかに疑問があります。いくつかの実験を通して倍率0.6が提案されているものと認識はしています。

積み上げた板壁のせん断変形を拘束するためにダボが打ち込まれます。間隔62cm以下のみの仕様となっていますが、仮にだぼ本数を2倍にして31cm以下の仕様にした場合に倍率0.6以上が確保できるものと考えられますがご検討ください。

また、だぼを間隔で示す方がよいのか、柱の間隔に応じた本数を等間隔に配置するという表現のほうが良いのかは議論のあることろです。たとえば、180cmの柱間では条文の読み方によっては柱芯を3等分した位置をだぼ位置とすれば、だぼは2本でよいと解釈できます。条文の読み方としてこれで正解なのでしょうか。

■軸組みの柱相互の間隔について
柱相互の間隔が180cm以上、かつ、230cm以下の軸組みのみの仕様に限定されています。いわゆる1間+アルファの壁のみが耐力壁と認められるということと解釈します。一般住宅にあっては3尺壁(91cm)の比率の方が多いという状況があります。その状況への対応が必要であると考えます。

上記だぼの間隔と倍率にも関係しますが、たとえば91cmの柱間にだぼ2本(間隔31cm以下)を配する壁の倍率の提案は必要です。仮に倍率0.6以下であったとしても3 尺壁を耐力壁として評価できることに意味があります。

■板厚、だぼ寸法に対する可能性について
せん断要素として落とし込み板壁が位置づけられるわけです。この壁の場合には、耐力上だぼ寸法とその本数、それを打ち込める板の厚さをパラメーターに何種類かの仕様が想定できます。住宅であっても板厚を最大10〜12cmを確保することは容易です。格子壁で3種類の仕様を提示されていますが、落とし込み板壁にあっても同様の可能性をご検討ください。
たとえば

1. 柱間180cm以上230cm以下の場合(※に検討された数値が入る)

  今回改正案 A B C D
板厚 2.7cm以上 4.5cm以上 6cm以上 9cm以上 12cm以上
だぼ断面 1.5cm以上 2.1cm以上 3cm以上 4.5cm以上 6cm以上
だぼ間隔 62cm以下
(だぼ本数) (2本/180cm以上)
倍率 0.6

1. 柱間180cm以上230cm以下の場合(※に検討された数値が入る)
 
※上記と同様の表示法で示す

今回の告示改正では時間的に対応できませんが、可能性を課題として引き続きのご検討を要望いたします。
  以上。

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