topページへ つくり手インタビュー
   
(株)岡田建工 岡田明廣さんに聞く
photo 木と土の家がいい。
 
 
長持ちする木と土の家をつくるのがいちばんええ。
森林ボランティアもいいけれど、自然の木と土をきっちり使って、100年、200年もつ家を建てた方が環境のためにはよっぽどええな。 木を木でない使い方していてはいかん。木はうすくはいでベニヤにしたり、糊でくっつけたりね。古い神社を見れば分かるが、木は丸のまま使うのが本来。栄養があがっていく繊維もスパイラル状になっているしな。高気密高断熱にするのも、木を腐らせる。木を木として自立していたいのちにちゃんと訊いて、木が生きるように使うことが肝腎だ。

金物と木とは、相性が悪いよ。すぐくさる。文化財の仕事でも鉄で補強したところはまたすぐ傷んでいる。木造は、木と木を組んだ総体の、吸収分散と摩擦でもたせる。金物を使うと、力がかえって弱い点に集中してしまうんだ。基礎にしてもそう。コンクリートと木とでは、地震の力がかかった時のふるまいがちがう。だから大きな力がかると、ボルトで緊結したところに破壊が集中してしまう。ぐにゃぐにゃしてでも、いざってでも、全体でなんとかもつ。これが木を木として使う家なんでないの?


土と木は相性よし。
土に浸みた雨や湿り気は、天気がよくなると水蒸気になる。蒸発する際に、気化熱を奪いながら上昇していく。だから、壁や屋根に土を使うと涼しなる。空気もきれいになる。

本州中部あたりなら、屋根は水は通さない水蒸気を通す瓦屋根がいちばんいい。それも、いい土を選別して、ゆっくり練って、焼いたのがいい。時間をかけずに焼いた瓦は硬く、空気の入る余地がなく、結露しやすいね。瓦は土を葺いた上に載せるとなおいい。最近は土を葺くと重くなるといってやらないけれど、土があっただけ水分の吸収や放散もしてくれる。

地震が来たら、瓦が落ちる。建物が軽くなる。土壁がはがれ、貫がひしゃげるけれど、倒壊には至らずに、中の人は助かる。壁はまた塗りゃええ。瓦はまた載せればええ。これが土と木の家の地震に対する構えだな。
 
つくる者が木の使い方を知らないと、木のよさが生きない。
同じ木を組むんでも、最近は腰掛け蟻でしか梁にかかかっていない京呂組みが多い。これでは、上からかかってくる屋根の荷重には耐えても、引っ張りには弱い。なにも役に立たない。だから、がっちりと互い違いに組む、渡り顎、折り置き組みがいい。ただ、互い違いに組むということで高さがようけいる。それでは、材料も手間もかかって不都合、というんで、京呂組みが多いんだな。

効率優先で木の本当の使い方がされないのでは、意味がない。こうすればこうねじってくる、年数が経てばどれだけちぢんでくる。どういう木目になっている・・・木造というのは、そこまできちっと木を分かって、小さな楔一本つくるんでも、木を見ながら使っていくんでないと、よさがでないんだな。




出典:木造建築用語辞典
発行:井上書院
 

ばらつきがある。それが自然素材。それが手仕事。
同じ仕事でも、職人がどこまできちんと見る目があって仕事しているかで仕上がりがちがう。同じ木でも、切った時期や使い方によって性質がちがう。

「そんなことで強度がうんと変わるのでは、いかん。だから、金物を使え」という法律がでてくる。よくない大工には金物を使わせて、最低限の性能を保証させる。それはいい。でも、いい大工がしっかり作る家に対しては金物を使うことを縛りにしてしまうことはない。

太い柱を使って貫構造、仕事もきちっとするなら、それでよろしい。悪いやつにはきちっとしなきゃいけないけど、その上を求めてつくっている者に対しては実状に合わない規制はしない。でないと文化がなくなる。歴史がものがたってくれている。いい家は確実に残っているんだから。

 
  手抜きでないほんとの仕事を伝える。手間くわず、手間かける。
うちは昔通りのやり方をしているけれど、親方がもうけをとるために早いこと、安いことを最優先させ、よけいな手間をかけさせないようにするところも多い。そんな親方のもとではたらいてく若い者は、自分が手を抜いていることを理解していない場合もあるだろう。手を抜くとなると、見えないところ、つまり、構造がおろそかになる。こわいことだ。

きちんと手間をかけることは大事なことだ。でも、それはヘタなやつがバタバタしとって、手間くっているのとは違う。ちゃんとした仕事を早く平気でやるやつは居る。そう心がけておれば、それはそんなむずかしいことではない。時間をかけてのろのろでなく、やり方を考え、一回一回気を込め、さっと仕事する。それは仕事としても美しいことだ。



うちは8人のうち5人が20代。自分のこどものように思って育てている。募集はしていないから、自分で来る。みんなやる気のあるいい子ばかりだ。技術も教えるが、よろこんで仕事をするようにもっていくのが要だね。親方が弟子にやる気をおこさせれば、若い者が自分で工夫し、上達していくようになる。親方はそのためのレールを引けばいいんだ。材料をうんと手で触りながら、自然の摂理を学び取ってもらう。そうやってこの仕事が次の世代に伝わっていくことを望んでいるよ。  
  参考図書
「左官礼讃」

小林 澄夫著

2001年 石風社
\2,800


 
       
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