topページへ つくり手インタビュー
   
丹羽明人アトリエ 丹羽明人さんに聞く
photo 大工さんと二人三脚で、伝統構法
 

答えは伝統構法にあった
自分の探していた答は伝統構法にありそうだ。そんな予感が、実際に民家を補修しながら竣工した「里の家」を通して、はっきりした手応えに変わりました。そしてそれからの自分の仕事は、伝統構法へと、どっと導かれていったんです。いろいろ勉強したり、大工さんといっしょに現場での実践を重ねていったりして、今ではすっかり伝統構法に学んだつくり方をしています。

「プルプル」の自宅は、今のようなつくり方をする前の「最後の建物」です。それが事務所の隣にありますからね。お客さんに「いいお家ですね」なんて言われると、外見からでは分からないけれど、今つくっている建物とくらべるとこういうところが違うんです、ということを、ちゃんと説明していますよ。
木組みの仕事をできる大工はちゃんといる!
実際に伝統構法の仕事をするには、なんといってもそれでつくってくれる大工さんが大事です。いい人が近くにいないか、探してみたら、なんとさきほどお話ししたぼくの自宅の造作工事をした50代後半の大工の日置さんが、実に腕が立つ人だったということが分かってね。「そういう仕事がないから、まるまる一軒木組みなんていう仕事はしたことがない。弟子入りした頃も、木組みを教わったことはない。けれど、自分の育った家は木組みだから分かる」というのでお願いしたら、筋交いや金物に頼らない、木組みのいい仕事をしてくれました。

はじめの何棟かはこの方にお願いしたのですが、あっちこっちの現場で引っ張りだこで忙しいので、誰かほかにもい大工さんがいないかなと思っていたところ、名古屋の大工の中村武司さんに、岐阜の中村薫さんを紹介してもらいました。ぼくと同じ40歳です。20代後半で好きで大工になった人で、はじめはバンバン組み立てる普通の仕事をしていたんですが、郡上八幡の棟梁とつきあううちに伝統的な仕事を知って、機会があったらやってみたいということだったので、お願いすることにしました。まるまる一棟、伝統的な方法で手がけたのはぼくのところでが初めてだったのですが、いい仕事をしてくれました。


木組みは「大きな工作」むずかしいものではない
伝統構法っていうと「宮大工みたいに特殊な人にしかできないんじゃないの?」と思われがちですが、そんなことないんです。「後で乾燥して木が収縮するからきつめに刻んでおく」とか、経験値が左右する部分ももちろんありますが、「すごくむずかしい」ことではないんです。木を削って、凸凹を刻んでいって、それを組んでいって。基本的には「工作」がちゃんとできれば、できるいわば「大きな工作」なんですよね。だから、やったことなくても、遅く始めても、正確に誠実にやっていけばできるんです。機会さえあればね。そう分かると気が楽になって、それ以来、ぼくの設計する家は基本的に伝統構法にねざしています。

木組みの仕事は大工さんにしてみれば手間がかかるから大変なんですが、もともとモノをつくるのが好きでなっているわけだから、やり甲斐があって楽しいんでしょうね。手間だけでなく、木組みの仕事だと、現場がのびることもあって、読みにくいんですよ。たとえば造作工事には土壁が乾かないと入れないですよね。今年みたいに寒いと壁が乾かないうちに凍結する。ふつうだったら、凍結防止剤を入れて工期が遅れないように進めていくわけだけれど、そんなことはしないから、大工さんにしてみれば待つ時間ができちゃうでしょ? そんなような非効率が、木の家にはいっぱいついてまわるんですよ。それでも、大工さんがおもしろい、やり甲斐がある、そう言ってつきあってくれているので、ぼくもとても嬉しいんですよ。
       
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