2005年7月6日。八ヶ岳南麓に建つ新築の木組の家「神保邸」で「八ヶ岳家造りの会 木の香」が主催する見学勉強会が行われた。参加者はおよそ20名。「近いうちに移り住んで、こちらで子育てしたい」という都会の若い夫婦、買った家をセルフビルドで直している人、妊婦やお母さんと新生児を迎える空間づくりを考えている助産婦さんなど。30歳代が多い。

家の中を自由に歩き回る参加者から「落ち着くなあ」「気持ちがいいなあ」といったリラックスした感想が聞こえてくる。その後、全員が車座になり、自己紹介を始めた。「これ以上ものはいらない。シンプルで自然に沿った生活をしたい」。 家だけでなく、生活全体について高い意識をもった人が多いことが分かる。食材を選ぶ時に、色や形のきれいさではなく、少しぐらい高くても安全なものを選ぶ感覚の延長で、家づくりをとらえているようだ。だからといって、お金に余裕のある生活をしているわけではない。


限られた予算で木組の家を実現するためには?

家づくりで、ちゃんとしたものをつくろうとすると、その差額は、きちんとした野菜を選ぶ時より大きなものとなる。「それなら家をコンパクトなものにして」「設備はシンプルでよい、と割り切ることも必要」。そんなことが、木の香の家づくりコーディネータ松田俊介さんとのやりとりの中で話されていく。

「自然素材への憧れ」に対しても、「木は自然素材だからこそ、反ったり、割れたりする性質をもつことを了解しておいて欲しい」と釘を刺す。木をはじめとする自然素材の本来の性質がクレームの対象にならないように憧れだけではなく現実的な内容をそのまま伝え、共通の理解、そして信頼関係を築いていく。


こういう家ならば、気にしなくても大丈夫!


「これまでシックハウスのことを気にしてたけど、木のよさが発揮される家をつくればそんなに神経質にならなくてもいいのね!」 参加者は、来た時よりものびのびとした、明るい気持ちになったようだ。環境についてけっして楽観的にはなれない時代に対して目を向けながらも、未来への希望をもった次世代を育てたい。その困難をしっかり自覚する人たちが、「どんな生活を選ぶか」によって未来を切り拓いていこうとしている。そんなことが感じられた。



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上/山梨県北杜市高根町の神保邸で行われた見学勉強会の様子。
左/八ヶ岳家造りの会 木の香のコーディネーター、松田俊介さん。
神保邸は、壁で仕切られていない大きなワンルームのような平屋。大黒柱の左手前には、この冬を迎えるまでに、神保さん夫婦がレンガを積んでペチカをつくる予定。
赤ちゃん連れの参加者もいた。無垢の床は這い回らせておいても安心。
大工の横山さんから木組の説明を受ける参加者。パズルを組むように自分で訓でみる人もいた。
「おじいさんたちが住んでる築120年の母屋を、将来、いい形で残していくことを考えたくて」と地元の農家のお嫁さんも勉強会に参加。帰りがけに玄関外で減農薬野菜の直売をした。
参加者が持ち寄ったおにぎりやパン、おかずなどでいっしょに昼ご飯を食べることが勉強会のスケジュールに組み込まれていた。「生活全体の見直しにつながれば」と考える松田さんらしいアイデア。