いい仕事からは、新たな出会いが生まれる 「子どもたちの遊べる『家』のようなものは出来ないか…」寺の副住職で、副園長でもある倉島隆行さんが栓山にそう相談したのは、有限会社大和社寺工営による園舎の耐震工事が行われていた時。栓山さんは、その工事の応援で来ていたのだった。 「この仕事ならこの職人!というイメージがあるんです。そんな職人とご住職とを結ぶことができた時はうれしい。いい人間関係が生まれ、その結果としていい仕事ができていく。それを見届けるのがまたいいんですよ」と、大和社寺工営の岡本泰一さん。今回のワークスクールが実現する過程をも見守った。「こなすだけの仕事」からはこうした縁は生まれない。岡本さんは、当日も大工2人とともに、休日返上で参加していた。 もの作りの魅力を知っている幼稚園だから 「どうせなら、ツリーハウスがいいよねえ」という主任の倉島すま子先生の言葉が、栓山さんの心を揺さぶった。「園児たちが毎日、思いっきり遊ぶものだから、丈夫で安全であることが第一。雨風にさらされても長年使い続けてもらえるものでなければ…」 栓山さんは家を建てるのと同じぐらいプレッシャーを感じていたはずだ。構造や強度、経年変化など、さまざまなことをシミュレートし、大工仲間や園との打ち合せの中、計画は練り上がっていった。怪我をしないか? 安全面は?メンテナンスは? 杓子定規に考えれば、半年会議を重ねても結論は見えてこない。このプロジェクトが実現にこぎつけたのには、わけがある。 園庭の片隅にあるプールは、30年近く前のこと、園長が先頭に立って親たちと一緒に「手作り」したものだ。「プール開きの時はみんな泣きましたよ」と園長。「毎日カレーの炊き出しをしてねえ・・」とすま子先生。今回のワークスクールを栓山にもちかけた副園長、隆行さんはそのお二人の長男だ。プールのほかにも「●年度卒園生作成」という字の入った遊具が点在する。自分たちで遊ぶものを手作りする。それが、この園の伝統なのだ。それを受け止める大工と園との間に信頼関係が築かれたからこそ、今回のプロジェクトは実ったと言っていいだろう。