では、「三角形」をつくらなかった日本の木の家は、地震などの力に対してどうふるまうのでしょうか?
力を受けると、四角形を構成するタテとヨコの骨組みは、そのぶつかり合っているところがつぶれて(めり込み)いきます。そうすると四角形は菱形の状態になっていきます。このときにそれぞれの接合部で込み栓や楔が頑張っていれば、それが抜けずにズルズルと菱形が押しつぶされてひしゃげていきます。このズルズルと菱形に押しつぶされていくことが力のエネルギーを吸収していることになっているのです。
四角形の骨組みの中に、めり込みを起す接点がおおければ多いほどエネルギーの吸収する量も増えますので、それだけ壁の性能としては高いといえます。柱の間に貫を通すのもそういった効果があるからです。「大工がきちんとした仕事をしていた家であれば、大概の地震では軸組はひしゃげてももとに戻る」というのが日本の大工技術の考え方でした。つまり、「ひしゃげないようにトラスで固くつくる」西洋の技術と比べると、「ある程度ひしゃげてももとに復元するようにつくる」日本の大工技術は柔らかい構造だといえます。力に対して固く抵抗するのではなく、力をやんわりと受け止め、粘り強くしなやかに力をかわそうという仕組みなのです。
めりこみが起き得るのは、接合部が木と木だからです。これが木と金物だったりすると、金物の力の方が強く、木だけが一方的にめり込み、変形が大きくなったり、局所的に破壊がおきるおそれがあります。また、柱と梁が幾重にも重層する結果として、家全体が編んだかごのようになっていて、エネルギーをやんわりと吸収するポイントがいくつもできています。これも受けた力をうまく分散させるしくみとして機能します。(このことを「総持ち」といいます)木の特性をうまく活かした木組みの家だからこそ「やんわりと受け止め、粘り強くしなやかに力をかわす」ということが実現できるのです。
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